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鏡の前

 

2人の暮らしから遠く離れた駅。
知り合いに会う可能性はかなり低い。

それなりに大き目の駅だから、
人通りは少なくはないけれど、
だからこそみんな、他人に無関心だ。

太ももまで隠れる春物のコート。
ミニスカートもすっぽりと隠し、
コートの下から出た足は、
黒いストッキングにローファーだ。

ミニスカートの下にショーツははいていない。
そしてコートの中の上半身は裸だ。

そんな恰好で君は、命じられるままに、
駅の構内を端から端まで歩かされている。

これで三往復目だ。

堂々としていれば、誰も自分を見てはいない。
それに気付いたのだろう、
君は余裕を取り戻しているように見える。

最初の往復の時は、明らかに不審者の雰囲気だったのに、
恥ずかしがらない事をさせてもつまらない。
君を連れて、駅を出る。

大きな公園に続く商店街。
コートの胸元を少し大きく開けさせて、
手をつないで歩く。

そして、意味もなく、色んな店に入る。

「この靴、試着させてもらって」
「…え」
「ほら、あそこの店員に声かけよう」

俺が指差した先にいるのは、高校生のバイトかも、
と思わせるくらい若い女の子。
君がこういう時に強く恥じらうのは、
同性と接触する時だ。

「…すみません、これ、履いてみていいですか?」

君の声には明らかな緊張があり、
俺は内心で微笑む。

ゲームセンターでは、プリクラで自分の姿を確認させる。
プリクラそのものは露出していないコートのままだけど、
その撮影までには、何度も自分の姿を確認させる。

書店を見つけた。

「別々に入ろう」
「え?」
「俺が先に入るから、2分くらいしたら入っておいで」
「え、…はい」
「俺が立ち読みしてる隣においで、他人のフリでね」

そしてアダルトコーナーの前で君を待つ。
すぐに君が俺の左に並んだ。
さりげなく顔を確認すると、明らかに動揺している。

素人さんの投稿がメインの、小さな雑誌を君に持たせる。

「後ろに着いて行くから、これ買うんだよ」

覚悟が決まっていたのか、君は素直にうなずく。

君が雑誌を購入し、
その後で俺はレジで売っているガムを買い、書店を出た。

その雑誌を片手に、反対の手をつないで駅に戻る。
君の手のひらはじっとりと汗ばんでいる。

そっと耳元でつぶやく。
「君は、もうすっかり変態女になっちゃったよね」


駅裏に見つけたラブホに入り、
鏡の前で君を犯す。



 
mirror.jpg


「鏡の自分の目を見て、今日自分がした事を、説明してごらん」

君は、途切れ途切れに声を出す。

「コートの、した、はだか、で…」
「乳首は立ってたの?」
「…た、たって、ました」
「変態だよね?」
「あ、あ、はい」

君が感じているかどうかわからない。
ただそんな会話をしながら、
鏡の前で君を犯す。

俺達はふたりとも変態だと思う。
だけど、君の性器は驚くほどヌルヌルだし、
俺の性器もとても固くなる。

「目をそらさないで」
「は、はい」
「変態女が映ってるよね?」
「ぅあ、はい…」

つながった性器から、くちゅくちゅと淫靡な音がする。

鏡の中の君は、どこを見ているのかよくわからない顔になる。

別れたかったはずなのに、
何故だかまた君を好きになっている気がした。

くちゅくちゅという音が、大きくなる…。





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